レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスが共演した映画『キャッチミーイフユーキャン』。
パイロットや医師など、さまざまな人物になりすましてFBIから逃げ続ける主人公フランクの姿を見て、「こんなことが本当にあったの?」と思った方も多いのではないでしょうか。
今回は『キャッチミーイフユーキャン』は実話なのか、モデルとなった人物は誰なのかを詳しく見ていきます。映画のあらすじや実話との違いも紹介します。
キャッチミーイフユーキャンは実話?
『キャッチミーイフユーキャン』は、実在するフランク・アバグネイルの人生を題材にした2002年公開の映画です。監督はスティーヴン・スピルバーグ、主人公フランクをレオナルド・ディカプリオ、彼を追うFBI捜査官カールをトム・ハンクスが演じています。
出典元:劇場用映画予告編アーカイブ
フランク本人に小切手詐欺などの犯罪歴があったことは確認されており、FBIも彼が偽造小切手を使った犯罪で逮捕され、のちにアメリカの連邦刑務所に収監された人物として紹介しています。
実話をそのまま映画にした作品ではない
「実在する人物がモデルなら全部実話なのでは?」と思ってしまいますが、ここが少しややこしいところです。
映画の原作となったのは、フランク・アバグネイルとスタン・レディングによる1980年刊行の『Catch Me If You Can』です。この本自体がフランクの体験をもとにした半自伝的な作品で、人物や出来事には変更が加えられているとされています。そのため映画も「実話の完全再現」というより、実在の人物と彼が語った体験をもとに作られたエンターテインメント作品と考えたほうがよさそうです。
後年になって疑問視されたエピソードも
さらに近年は、フランクが長年語ってきた華麗な詐欺師としての経歴そのものについても疑問が出ています。
映画では10代のフランクがパイロットや医師、弁護士などになりすまし、大規模な小切手詐欺を繰り返した人物として描かれています。しかし公的記録や過去の報道を調べた検証では、本人が語っていた内容と確認できる犯罪歴には大きな違いがあると指摘されています。
つまり「映画だけが話を盛った」という単純な話でもないようです。
キャッチミーイフユーキャンのモデルは誰?
『キャッチミーイフユーキャン』のモデルとなった人物は、フランク・ウィリアム・アバグネイル・ジュニアです。
フランクは1948年生まれで、若い頃に小切手詐欺などの犯罪を行ったことで知られるようになりました。のちに自身の過去を語る講演活動などを行い、その半生をもとにした本が映画化されたことで世界的に有名になります。映画ではレオナルド・ディカプリオが演じており、頭の回転が速く、どこか憎めない青年として描かれています。
パイロットになりすましたフランク
『キャッチミーイフユーキャン』と聞いて最初に思い浮かぶのが、パンアメリカン航空のパイロット姿ではないでしょうか。
フランクが航空会社のパイロットを装っていたこと自体には記録があります。公的記録をもとにした検証では、1970年にパンアメリカン航空のロゴを使った偽の小切手を現金化したことなどが確認されています。
ただし、映画や本人の自伝で語られたほど長期間にわたり世界中を飛び回っていたのかについては疑問視されています。
医師や弁護士になりすました話は本当?
映画のフランクはパイロットだけではありません。病院では医師を名乗り、さらに法律を勉強して弁護士として働く展開まで登場します。
こうしたエピソードもフランク本人が長年語ってきた経歴がもとになっています。ただ、後年の検証では医師や弁護士として長期間勤務していたことを裏付ける証拠は確認できないとされています。本人も2002年には、医師や弁護士を装った期間について、自伝ほど長くなかったという趣旨の説明をしています。 映画としては、この大胆さがかなり面白いんですよね。
FBI捜査官カールにもモデルとなった人物がいる
トム・ハンクスが演じたFBI捜査官カール・ハンラティも印象的な人物です。
カールは映画用に作られたキャラクターですが、フランクの捜査に関わったFBI捜査官ジョセフ・シェイがモデルの1人とされています。映画ではカールが長期間フランクを追いかけ、やがて不思議な信頼関係を築いていきます。ただし、映画で描かれる2人の追跡劇や関係性を、そのまま実話として受け取るのは難しい部分があります。
キャッチミーイフユーキャンのあらすじ
ここからは『キャッチミーイフユーキャン』のあらすじを紹介します。
主人公は高校生のフランク・アバグネイル・ジュニア。裕福な家庭で育っていましたが、父親の仕事がうまくいかなくなったことで生活は一変します。
さらに両親の関係も崩れ、フランクは家を飛び出してしまいます。まだ若く、お金も仕事もないフランクが生きていくために使ったのが、人を信用させる抜群の話術でした。
パイロットになりすまして生活が変わる
フランクが目を付けたのは航空会社のパイロットでした。
制服を身につければ周囲から信用され、ホテルなどでも特別な扱いを受けられることに気付きます。そこでフランクはパンアメリカン航空のパイロットになりすまし、偽造した小切手を使ってお金を手に入れるようになります。
まだ少年のような年齢なのに、大人たちを次々と信用させてしまう姿は本作の大きな見どころです。
FBI捜査官カールがフランクを追う
フランクによる小切手詐欺が拡大すると、FBIが捜査を始めます。
担当するのがカール・ハンラティです。一度はホテルでフランクを追い詰めますが、フランクは自分を別の捜査機関の人間だと思わせ、堂々とその場から逃げてしまいます。
カールにとっては悔しい出来事ですが、ここから2人の長い追いかけっこが本格的にスタート。真面目なカールと自由奔放なフランクの対比が絶妙です。
フランクは医師として新生活を始める
パイロットとして追われるようになったフランクは、今度は医師を名乗るようになります。
病院で働き始めたフランクは、看護師のブレンダと出会い恋に落ちます。これまで逃げ続けてきたフランクにとって、ブレンダとの生活は普通の人生を取り戻すチャンスでもありました。
やがてブレンダとの結婚を考えるようになり、弁護士である彼女の父親にも気に入られようとします。
幸せを手に入れかけたフランクにFBIが迫る
ブレンダとの結婚が目前に迫り、フランクはようやく逃亡生活から離れられるように見えます。
しかしカールは追跡を諦めていませんでした。婚約を祝う場にFBIが現れたことで、フランクは再び逃げることになります。
ブレンダと一緒に逃げる計画も立てますが、待ち合わせ場所にはFBIの姿が。フランクは彼女と別れ、再び1人で国外へ逃亡します。
フランスでついに逃亡生活が終わる
長く続いたフランクとカールの追いかけっこにも終わりが訪れます。
カールはフランクを追ってフランスへ向かい、ついに居場所を突き止めます。フランクはその後逮捕され、アメリカへ戻ることになります。
実在のフランクについてもFBIは、1969年にフランスで逮捕され、その後アメリカで連邦刑務所に収監されたと紹介しています。ただし映画と現実では、逮捕に至る細かな経緯や時系列に違いがあります。
フランクの才能が別の形で生かされる
逮捕されたフランクですが、物語はそこで終わりません。
カールはフランクが持つ小切手や偽造に関する知識に注目します。犯罪に使っていた能力を、今度は犯罪を見破る側で生かせるのではないかと考えるのです。
映画ではフランクがFBIの仕事に協力するようになり、カールとの関係も追う者と追われる者から少しずつ変化していきます。この展開があるからこそ、単純な犯罪者の逃亡劇では終わらない作品になっています。
まとめ
『キャッチミーイフユーキャン』は実話をベースにした映画で、主人公のモデルとなったフランク・アバグネイルも実在する人物です。実際に小切手詐欺などの犯罪歴があり、フランスで逮捕されたこともFBIの資料で確認できます。 ただし、パイロットや医師、弁護士として長期間活動したという華やかな経歴については、後年の調査によって疑問視されている部分があります。映画独自の脚色だけでなく、原作となったフランク自身の物語にも誇張が含まれている可能性があるわけです。
そのため『キャッチミーイフユーキャン』は「すべて本当に起きた実話」と考えるより、「実在した詐欺師フランク・アバグネイルの人生と、彼が語ったエピソードをもとに作られた映画」と捉えるのが一番自然でしょう。


