「伯爵」
吸血鬼なので優雅に血を吸うっていうイメージを持っていたのですが、この作品はそうではなく、白黒なのでそんなに刺激は少ないのですが、人を襲って殺害するシーンや心臓を扱う部分などグロいシーンがチラホラ出てくるのがゾッとさせられました。
全体的には大きな盛り上がりがあるという訳でもなく、平坦な中にも一人一人の思惑が次第に浮き彫りとなって行く感じで、表現の仕方も何だか白黒の夢の世界を見させられている様な不思議な感じでした。
「伯爵」の伏線・考察・見どころについて解説します。
伯爵の見どころ①老吸血鬼の歴史
年老いた吸血鬼のアウグスト・ピノチェト、彼の歴史はフランス革命の時代にまでさかのぼります。
孤児だったクラウド・ピノッシュは20才のある時に本来の自分をさらし出すことにします。
さらには自分の葬儀をとり行い存在を消してから、マリー・アントワネットの墓から首を盗み出したのです。
これにはどんな意味があったのでしょうか・・・。
その後も各国へ移動し、彼の中にただの兵士からもっと上を目指したい欲望が出てきます。
そこで王のいないチリに目をつけどんどん昇格していき、最終的にはクーデターを起こし、チリに平和をとり戻しました。
結果「伯爵」と呼ばれ大富豪へとなっていったのでした。
しかし、まだ物語はプロローグに過ぎません。
これからの伯爵に何が待っているのか気になるところです。
伯爵の見どころ②5人の子供たち来訪
彼の元に5人の子供たちが集まって来ます。
子供と言っても伯爵自身も相当高齢なので、子供たちももういい年をした大人です。
伯爵家も全盛期の様な勢いはないもののある程度の資産はあるのか、子供たちだけで財産の話もこっそりしているので、人間界と似たようなものだなぁと思っていました。
が、なんと吸血鬼一家と思いきや伯爵だけが吸血鬼で、他の家族の血を吸う事はしなくて皆は人間のようです。
ここで伯爵の使用人であるフョードルの事が語られ、その立ち位置が次第に気になって来ます。
更にカルメンという若い女性の登場で、静かに進んできた物語が、新たな展開に突き進むのでは?と期待感も出てきます。
彼女は先に紹介があった通り、計算力に優れた女性ということで呼ばれたものの、本来は神に仕え「悪魔祓い」もできる人物なのです。
また、そんな彼女の素性を知ってか知らずか声を掛けた娘の事も気になりました。
伯爵の見どころ③伯爵とカルメンと・・
伯爵がカルメンに目をつけたり、どんどん皆の様子が変化して行くので、最初に想像していたのとは全く違った展開になって行くのが意外でした。
このチリ映画のホラーでダークコメディ的な展開は独特な世界観なのが新鮮でした。
後半は、それぞれの私利私欲が交錯して、なんだか混沌としていくのが不思議な感じでした。