この記事では、映画『蛇にピアス』が実話なのかどうか調査しました。『蛇にピアス』は、金原ひとみ氏による日本の小説で、彼女のデビュー作として知られています。すばる文学賞や芥川龍之介賞を受賞したことで話題となり、映画化もされました。当時をときめくトップ俳優からタレントまで、幅広い有名人が本作の世界観を表現するキャストに抜擢されました。衝撃的なシーンが多い中、実話であれば違った覚悟を持って視聴することもできますね。真相はどうなのか、調べてみましょう。
『蛇にピアス』実話って本当?
『蛇にピアス』は金原ひとみ氏による小説であり、実話ではありません。若い女性の身体改造やセルフハーム、希死念慮や自死に関する考え方、恋人たちとの生活について描かれています。『蛇にピアス』が実話だといわれるようになったのは、若者が抱える葛藤や、健全とはいえない恋愛観、孤独や希死念慮など、私たちの人生と切っても切り離せないリアルなテーマだからでしょう。吉高由里子さんが演じる主人公が抱える苦悩や、彼女なりに生きる意味を見つけて歩もうとする姿は、若者のリアルな姿を表現していました。
『蛇にピアス』あらすじ
物語の中心となるのは、19歳の少女・ルイ。ある日、赤毛のモヒカンで、顔中にピアスが施され、背中に龍の刺青があるアマという男に出会いました。ルイは、二股の切れ目があるアマの「スプリット・タン」に魅了され、自身も身体改造を行うように。ルイは舌に入れたピアスや背中に入れた龍と麒麟の絡み合う刺青を通し、身体的な痛みに”生きる喜び”を感じました。ルイはアマと交際しながらも、自身の施術を担当する刺青師とも肉体関係を持つようになります。その三角関係が、のちにルイの人生を大きく変えることになります。
『蛇にピアス』アマが死亡したのはなぜ?
物語の中で重要なキャストの1人である、アマ。映画では高良健吾さんが熱演し、ルイを魅了する色気と母性本能をくすぐる笑顔、そしてルイに忠実で優しい性格がハマり役でしたね。
そんなアマは、物語の途中で無残な遺体となって発見されます。ルイは、アマが殺害される理由に心当たりがあったのです。それは、ルイと出会ったばかりの頃に起きた出来事でした。アマの死を覚悟していたルイですが、アマの死後に判明していくショッキングな事実に困惑しながらも、彼女なりに生きる意味を見つけていきます。
アマは暴力団員を殺害していた
ルイとルイの友人が暴力団の男に絡まれた際、激昂したアマは相手をボコボコに。さらに最後には歯を抜き取り「愛の証」といってルイに渡しました。アマがいつも自分に忠実で、自分のことを全力で守ろうとしてくれているのかを感じた瞬間でした。
しかし数日後、アマが暴力を振るい歯を抜き取った相手が死亡したと報じられたのです。アマが逮捕されることを危惧したルイは、アマに髪を染めさせ、刺青が見えないよう長袖を着せていました。
アマは無残な姿で発見される
シバの店に警察が来て、アマの特徴のある犯人を捜していることを告げられたシバとルイ。シラを切り通しましたが、その後アマは忽然と姿を消してしまいました。そして数日後、無数のたばこを押し付けられ死亡したアマが発見されます。爪は剥がされ、陰部には「エクスタシー」と呼ばれるお香が差し込まれていました。警察は「バイセクシャルによるレイプ」であると断定します。
アマを殺したのは誰?考察してみた
アマを殺したのは誰なのか、作中では明らかになっていません。アマを殺害する同期のある人物は複数おり、もしかすると私たちが想像する以上の恨みを買っていたかもしれません。しかし、アマが亡くなった後シバと一緒に住み始めたルイは、アマの身体に押し付けられていたタバコや、陰部に差し込まれていたお香と同じものを、シバの部屋で見つけてしまいます。アマを殺害したのは、シバだったかもしれないのです。「愛がなんだ」が気持ちが悪いといわれているように、本作にも恋愛絡みのもつれが生じていたのでしょうか。
アマを殺した動機は?
ルイがシバの部屋で数々の証拠を見つけ、シバの犯行だった可能性が濃厚になりました。シバがアマを殺害したのが事実だった場合、動機は何だったのでしょうか。作中のシバを見ている中で、以下の理由が考えられるようです。
- シバがルイを好きになってしまいアマが邪魔になった
- シバとアマは関係を持っており、プレイの最中に亡くなってしまった
- シバはアマを可愛がっていたが、アマがルイというパートナーを見つけたことが気に食わなかった
シバとアマの関係は?
もともとシバとアマは友人で、兄弟のような関係でした。そして、アマはルイと出会って交際するようになります。シバがルイを本気で愛してしまった可能性もあれば、逆にルイという新しいパートナーを見つけたアマが許せなかった可能性もあるでしょう。また、シバは人が痛みに耐えている姿を見て興奮する「サディスト」だと作中で明かしています。そのため、その衝動でアマを死に至らしめてしまったという説もあります。
ルイの目的は?
ルイは、アマに出会い人生が変わるものの、得たのは「痛みで生きる喜びを感じる」という一見歪んだ人生観。アマと交際しながらも刺青師に誘われ肉体関係を持ったり、酒に溺れてアマをぞんざいに扱ったりするようになります。しかし、アマ亡き後はアマからもらった歯を砕いて飲み込むことで「アマと1つになれた」と感じ、アマへの愛や執着があるようでした。
結局ルイにとって、アマやシバはどんな存在だったのか。アマを殺したのがシバだと知っても、シバのもとを離れなかったのはなぜなのか。ルイの目的や生きる意味も考えさせられます。
『蛇にピアス』ラストの意味は?
『蛇にピアス』は、アマを失い悲しみに暮れるルイが、シバとともに生きる選択をするというラストを迎えます。しかし、そのシーンの1つひとつには「これはどういう選択を示唆しているんだろう」と考えさせられるものがありました。生きる意味を見つけられなかったルイが、アマやシバとの関係を経て、どのような選択をするのか。ラストシーンから考察してみましょう。
ルイが交差点にいる意味
ラストでは、1人で街を歩くルイが交差点にいるシーンがあります。交差点という描写は、見る人に自然と「分かれ道」を連想させますね。アマを失い、シバと一緒にいるべきなのか考えるルイにとって、交差点がどのような意味を持つのか、丁寧に考えなければいけません。交差点に足を踏み出すルイの姿は、今後誰にも頼らず自分の意思で生きて行く姿を感じ、頼もしく見えました。
ルイが妊娠した可能性
そして、ルイが突然しゃがみ込むシーンも話題になりました。お腹をおさえていることから、ルイが妊娠したという考察が有力なようです。ルイは生きるために身体改造に明け暮れ、2人の男と関係を持ち、痛みを喜びと感じながら生きてきました。そんなルイが妊娠をすれば、いばらの道になることは想像ができます。ルイはその後どのような人生を選んだのか、見た人の想像力に任せられるラストも、見応えがありましたね。
『蛇にピアス』キャストと相関図
『蛇にピアス』のキャストと相関図(関係性)を見てみましょう。『蛇にピアス』は、脇役やチョイ役といわれるキャスティングも豪華なことで知られ、SPEC(スペック)の相関図にも匹敵するほど、有名な顔ぶれが並んでいます。一瞬しか出てこなかった人物さえも、有名俳優なんですよ。では、一覧で見てみましょう。
俳優名 | 登場人物名 | 登場人物の説明 | 関係性 |
吉高由里子 | ルイ(中沢ルイ) | 物語の主人公である19歳の少女 身体改造に魅了される | アマの交際相手 シバとは肉体関係を持つ |
高良健吾 | アマ(雨田和則) | スプリット・タンを持つ青年 身体改造を施している 見た目は派手だが心は優しい | ルイやシバに忠実な性格 |
井浦新 | シバ(柴田キヅキ) | 身体改造の店「Desire」のオーナー 刺青師でサディスト バイセクシャル | アマの兄貴分のような存在 ルイと肉体関係を持つ 物語の最後にはルイにプロポーズする |
あびる優 | マキ | 映画版の登場人物 ルイの友人 | ルイとともに暴力団に絡まれる ルイとは友達だがそこまでは親しくない |
ソニン | ユリ | 映画版の登場人物 ルイの職場の同僚(コンパニオン)役 | ルイが経験したイベントコンパニオンのバイト仲間 ルイと一緒にサボる |
小栗旬 | 暴力団員 | 映画版の登場人物 アマと衝突する暴力団員役 | ルイとルイの友人に絡む 死なずに逃げ切る |
藤原竜也 | 暴力団員 | 映画版の登場人物 アマと衝突する暴力団員役 | ルイとルイの友人に絡む アマに殴られた上に歯を抜き取られ死亡 |
唐沢寿明 | 警察役 | 映画版の登場人物 警察官 | アマの捜索願を出した先の警察で受付をした |
ルイたちに絡んだ暴力団の男性を、小栗旬さんと藤原竜也さんが演じていたことに気付かなかった人もいるほど、チョイ役に有名俳優がキャスティングされました。
彼らは友情出演ということで、蜷川幸雄さんの舞台や映画に縁深い人物が抜擢されたそうですよ。目立たない役でも物語が進展するキーマンとなっており、細かな部分まで綿密に寝られた脚本だということが伝わってきますね。
まとめ
『蛇にピアス』が実話なのか調査しました。『蛇にピアス』は衝撃的な内容で年齢制限がかかるほどのセンシティブな作品でしたが、実話ではないようです。しかし、当時の若者が抱える先の見えない不安や葛藤、生きる意味、人のぬくもり、愛と痛み…私たちの人生を等身大で表現しているような、リアルながらも思わず目を背けたくなる描写が印象的でしたね。現代も語り継がれる名作となった『蛇にピアス』をまだ視聴していない方は、ぜひ見逃し配信などでチェックしてみてくださいね。