異色のアニメーションとして短編が評価されたことで製作された長編映画で、最新のCGや独特のストーリーで制作された作品です。
人類が滅亡した世界を舞台に、科学者から生み出された9体の人形。
そのうちの9が目を覚まし、過酷な試練に立ち向かいながら、自分がなぜ作られたのか、そして、なぜ人類は滅亡したのかという真相に迫っていきます。
概要
アメリカの大学で製作された短編映画が、専門家や評論家から高評価を獲得し、長期映画が製作されました。
2009年に公開された長編アニメーション映画では、アメリカのアニメの大規模な祭典で披露され、大注目を集めました。
日本では2010年に正式に公開され、日本語吹き替え版も制作されています。
原作の短編
本作の長編映画の原点である、短編映画”9”は、2005年にカリフォルニア大学の学生であった監督シェーン・アッカーが製作した3D作品です。
正式にアメリカ国内で公開後、2006年には奇跡的にアカデミー賞短編アニメ賞にノミネートにし、監督の出世作として注目が集まりました。
そして、奇才ティム・バートンの目に止まり、独特なコンセプトとストーリー「9」の長編映画化を提案、製作参加することになりました。
あらすじ
科学の進歩という名目でロボットを作るよう独裁者から命じられた科学者は、高度な人工知能を有するB.R.A.I.N.を作成します。独裁者はそれを利用し、敵を破壊するための戦争マシーンと軍隊ビーストをアマチュア技師が複製しますが、次第に一部は地球に有害をもたらし破壊します。
残りのマシーンを阻止するために、科学者は錬金術を使って「スティッチパンク」と呼ばれる9体のホムンクルスのような縫いぐるみ人形を作ります。
時は過ぎ、人類が滅亡した終末世界の地球で、魂を吹き込まれたスティッチパンクの9が目を覚します。
喋れなかった9は旅をしながら、残りの8体と再会し、喋れるようになっていきます。しかし、ビーストの襲撃や、過酷な状況に追い込まれ、残った仲間と助け合いながら旅を続けていきます。
登場するキャラクター
9(Nine)
9体の人形たちの中では最後に目覚めた主人公。
1(One)
臆病かつ保守的な性格で、9とはたびたび衝突するリーダー。
2(Two)
9が最初に出会った仲間で、9の発声装置を直し、喋れるようにした発明家。
3(Three)と 4(Four)
見た目はフードを被った姿をしている双子。言葉は話せないが、知識は豊富で目がプロジェクターになっている。
5(Five)
過去に機械獣に襲われたことで、隻眼になった職人。
6(Six)
左右で大きさの違う目が特徴の芸術家。
7(Seven)
鳥の頭蓋骨を兜のように身に着けている女戦士。
8(Eight)
腕力自慢で頭は悪いが、1の命令には忠実。
・ビースト
アイカメラを持ち、荒廃した世界を闊歩する機械獣。
・猫型ビースト
劇中で最初に登場する「ビースト」。背中に棘があり、頭は猫の頭蓋骨でできていて、左目には通常のカメラアイ、右目には暗闇での索敵用に白熱電球が付いている。
・マシーン
「ビースト」を生み出した元凶。
感想
廃墟と化した世界で彷徨う人形スティッチパンクの9体が蘇り、それぞれ個性的なキャラクターとして登場しています。ダークな世界観でビーストが支配する状況の中、真実を求めて旅に出るナインが、未来を守るために戦っていくシーンは、とても凄みが感じられました。
アニメにも関わらず、ダークな演出で過去にあった出来事を明らかにしていくあたりは、大人も見入ってしまう展開です。