このシリーズは著名な映画監督ギレルモ・デル・トロによるホラーアンソロジー作品です。
とてもよくできていて面白いですよ!
各エピソードはデル・トロ自身がストーリーテラーとして登場し、”飾り棚”(原題:”Cabinet of Curiosities”)からそのエピソードのキーアイテムや主人公の焦点となるオブジェクト、さらにはエピソードを手がける監督を紹介する形で幕を開けます。
このスタイルは日本のテレビ番組『世にも奇妙な物語』に似ている一方で、元々は『ヒッチコック劇場』へのオマージュともされています。
デル・トロの独自のメッセージが各エピソードに込められているため、その点を考慮しながら視聴すると、作品の理解が一層深まるでしょう。
- 驚異の部屋:エピソード1. ロット36
- 驚異の部屋:エピソード2. 墓場のネズミ
- 驚異の部屋:エピソード3. 解剖
- 驚異の部屋:エピソード4. 外見
- 驚異の部屋:エピソード5. ピックマンのモデル
- 驚異の部屋:エピソード6. 魔女の家での夢
- 驚異の部屋:エピソード7. 観覧
- 驚異の部屋:エピソード8. ざわめき
驚異の部屋:エピソード1. ロット36
この作品は、ギレルモ・デル・トロが手がけるホラーアンソロジーで、キーアイテムは「倉庫の鍵」です。
主演のティム・ブレイク・ネルソンは、移民排他主義と人種差別に染まった嫌悪感を抱かせるキャラクター、ニックを演じています。
彼の振る舞いは、倉庫の管理人や移民の女性に対しても非常に冷酷です。
ストーリーは、因果応報をテーマにしており、ニックが最終的に自らの行いの報いを受ける展開となっています。
視聴者は、彼が受ける報いを見て「ざまあみろ」と感じるかもしれません。
物語は、監視カメラに映った老人の奇怪な行動からスタートし、次第に怪しい書物、隠された部屋、そして動き出す怪物が登場するなど、目が離せない展開になっています。
明暗のコントラストが恐怖を高め、緊迫感が次第に高まっていく作品です。このシリーズは、ただ怖いだけでなく、社会的なテーマにも触れており、多層的な楽しみ方ができます。
ティム・ブレイク・ネルソンが『DUNE/デューン 砂の惑星PART2』に出演。撮影は昨年12月に終了している。役柄は不明。https://t.co/22hMeZJKTJ
— 永遠 (@awzotp) January 7, 2023
驚異の部屋:エピソード2. 墓場のネズミ
この作品は、シチュエーションスリラー『CUBE』で名を馳せたヴィンチェンゾ・ナタリ監督が手がけています。
キーアイテムは「金のアクセサリー」で、主人公は墓守のハッサンです。
物語は、ハッサンが自分が管理する墓地で墓荒らしを行っているという皮肉な状況からスタートします。
ハッサンは遺体に対する敬意を欠いており、金歯さえも抜き取るという冷酷な行動を繰り返します。
彼が金持ちの遺体が埋葬される日を楽しみに待っていたところ、棺桶が空であること、そしてその原因がネズミであることを知ります。
閉所恐怖症でありながらも、ハッサンはネズミの巣穴を果敢に進む姿が描かれています。
途中で出現する巨大なネズミと閉鎖的な空間が、視聴者に絶望感を与えます。
ハッサンの執念深い性格と、怪物に次々と襲われるスリリングな展開は、『CUBE』のファンにも間違いなく楽しめる内容となっています。
この作品は、ただのホラーではなく、人間の欲望と業についても考えさせられる多層的な作品です。
驚異の部屋:エピソード3. 解剖
この作品は、キーアイテムとして「録音機」と「手術用のメス」を用いています。
独特な展開で、前半はミステリー要素が強く、後半はSFホラーとして展開されます。
物語は、炭鉱での爆発、町での失踪事件、そして森で発見された不可解な死体といった一連の事件から始まります。
次第にこれらが全てエイリアンによる仕業であることが明らかになり、謎が次々と解明されていくスリリングな展開が視聴者を魅了します。
ただし、後半にはタイトルにもあるような解剖シーンが登場し、そのリアルな描写はグロ耐性が求められます。
それでも、検視官カールとエイリアンとの対話は非常に見応えがあり、カールが何かに気づき鳥肌を立てる瞬間など、映像のクオリティは高いです。
この作品は、ただのホラーではなく、ミステリーとSF要素を巧妙に組み合わせた驚愕のストーリーが展開される傑作と言えるでしょう。
驚異の部屋:エピソード4. 外見
この作品は、キーアイテムとして「テレビのリモコン」を中心に、シリーズ内でも一風変わったストーリーが展開されます。
主人公のステイシーは、自分の外見にコンプレックスを抱いており、同僚で魅力的なジーナに憧れています。
クリスマスパーティでジーナから高級美容ローション「アログロ」をプレゼントされ、そこから彼女の運命が大きく変わります。
ローションを使用した結果、ステイシーの肌は悪化し、痒みと疼痛で夜も眠れなくなります。
しかし、深夜に突如として点いたテレビの通販番組で、司会者がステイシーに直接話しかけ、ローションの「素晴らしさ」を説明します。
ステイシーは、肌の状態が改善するための一過性の副作用だと信じ込んでしまいます。
特筆すべきは、主演のケイト・ミクーチの見事な演技です。
彼女は、地味で控えめなステイシーから、華麗な美女へと変貌を遂げます。
このビフォーアフターの変化は圧巻ですが、最後のシーンでステイシーの表情からは、美しさがもたらした虚無感が感じられます。
この作品は、外見の変化だけでなく、その裏に潜む心の葛藤と虚しさも巧妙に描いています。
周りに流され、自分を見失ってしまったような茫然自失の感情なのか、あるいは目的を達成して気力を失くしたのか、何とも皮肉な結末のように思えます。
タイカ・ワイティティの新作に出るケイト・ミクーチさんめっちゃ美人やな
アリータみたい pic.twitter.com/xT3o6AEmW8— われろ (@CinemaCinnamon) March 5, 2020
驚異の部屋:エピソード5. ピックマンのモデル
この作品のキーアイテムは「画集」で、中心となるストーリーは芸術大学の学生ウィリアムが、謎多き画家ピックマンとの出会いから始まります。
ピックマンの描く不気味な絵に次第に取り憑かれていくウィリアムの運命が描かれています。
授業で「描くべきは見たもの」と指導されたウィリアムは、ピックマンの絵作りに興味を持ちます。
しかし、その絵にはモデル以外にも奇怪な要素が描かれていることに気づきます。
ウィリアムはこれを「豊かな想像力」と評しますが、ピックマンはそれが「現実」であると断言します。
ウィリアムは社交的で明るい性格であり、対照的にピックマンは無口で陰鬱です。
この二人の不思議な関係性が作品に独特の雰囲気をもたらしています。
ウィリアムがピックマンの部屋でその絵を見た瞬間、彼はその恐ろしさに完全に引き込まれてしまいます。
数十年後の再会でも、ピックマンの絵の不気味さは変わらず、ウィリアムは彼から逃れられず、最終的には全てが崩壊してしまいます。
表面上は常識人のように見えたウィリアムも、実は学生時代から既にピックマンの影響を強く受けていた可能性があります。
その結果、ウィリアムだけでなく、彼の家族までもが狂気に取り込まれていく衝撃的な展開が見どころです。
驚異の部屋:エピソード6. 魔女の家での夢
この作品の中心となるキーアイテムは「魔法の杖」です。
主人公ウォルターは、子どもの頃に病気で亡くした双子の妹の幽体が異次元に吸い込まれる瞬間を目撃し、それ以後、妹を救い出す方法を求めて大人になります。
ウォルターはスピリチュアル協会に所属しているが、妹を救うための答えをまだ見つけられずにいます。
彼を演じるのは、『ハリー・ポッター』シリーズでロン・ウィーズリーを演じたルパート・グリント。
ウォルターはロンとは対照的に、終始陰鬱な様子で描かれています。
作品には魔女、魔法の杖、そしてネズミが登場するため、『ハリー・ポッター』のロンとの類似性が指摘されています。
このキャスティングは意図的なのかもしれません。
ウォルターは「金色の薬」を手に入れ、妹がいるとされる異次元に足を踏み入れます。
しかし、その世界は天国とは程遠く、ダークファンタジーのような雰囲気が漂っています。
ウォルターは魔女に襲われ、その後の出来事が夢なのか現実なのかは不明です。
この作品は、妹の魂が救われたのか、それともウォルターの幻想なのか、多くの疑問を投げかけるものとなっています。
特に冒頭と結末の語り手が誰なのかを知ると、皮肉な展開に感心することでしょう。
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驚異の部屋:エピソード7. 観覧
この作品の中心になるキーアイテムは「招待状」です。
音楽家、学者、小説家、超能力者といった多様な背景を持つ招待客が一堂に会し、特異な観覧会が開催されます。
大富豪が主催するこの奇抜な会は、B級映画愛好者にはたまらない展開となっています。
作品は80年代の映画へのオマージュが随所に見られ、『ブレードランナー』に登場するウイスキーグラスや、日本の漫画家と同名のウイスキー、さらには異形の石から出現する怪物まで、独自の演出が詰まっています。
映像は80年代のSF映画を彷彿とさせる黄色味の強いザラザラとした質感が特徴です。
特に怪物の造形は非常に不快で気持ち悪く、その動きは文字通り「おぞましい」としか言いようがありません。
作品は約一時間という長さですが、ほとんどが応接間での会話シーンであり、一見退屈に感じるかもしれません。
しかし、終盤に差し掛かると急展開が繰り広げられ、SFパニックホラーとしての魅力が存分に発揮されます。
驚異の部屋:エピソード8. ざわめき
このエピソードの焦点は、鳥の刺繍が施された布にあります。
エドガーとナンシーという名の鳥類学者の夫妻は、ハマシギという特定の鳥の集団飛行を研究するために、孤立した島へと足を運びます。
二人は表面上は仲が良いように見えますが、何か微妙な空気が漂っています。その理由は、かつて彼らが幼い娘、エヴァを失った過去にあります。
エドガーは妻に対して気を使い、冗談を言ったりダンスに誘ったりしていますが、ナンシーは心の中で何かに引っかかっているようです。
このエピソードはシリーズ中で唯一、ホラー要素が控えめです。
確かに幽霊屋敷が出てきますが、それは暗闇や音で観客を驚かせる程度で、ホラーが苦手な人にも親しみやすい内容です。
昼間はハマシギの愛らしい姿に心が温まり、夜には幽霊屋敷の中での悲痛な魂が描かれます。
この対比が非常に効果的です。
“マーマレーション”という言葉が冒頭で夫妻によって説明され、これは小さな鳥が集団で飛ぶ現象を指します。
この”ざわめき”が、ナンシーの心の壁を崩していく瞬間が描かれています。
最終的に、喪失からの解放を描いた美しいシーンでエピソードは締めくくられ、シリーズ全体に感動的な結末をもたらしています。
驚異の部屋は怖い?
怖さは人それぞれですが、一般的に言うとなかなか怖いシーンがたくさん出てきます。自分は夜見ると怖くて寝れないレベルのシーンも結構ありました。
ただどっちかというとグロいほうが多いです。
ゴキブリみたいな虫が大量にいたり、大量のネズミもあれ本物なのかなと思うほどよく描かれてます。
もちろん化け物もかなりグロくできてて、好きな人はたまらないと思いますよ^^
驚異の部屋:評価、考察、感想
だいたい40分から1時間前後の物語が8作品見れるのですが、どれもこれもストーリーが読めずグロいしなかなか展開も早く、管理人おすすめの作品になっております。
1話1話よく作られてて本と面白いです~
皆さまいろいろ好みあると思いますが、自分の印象が強かった面白い作品は
2話の墓場のネズミと4話の外見です。
墓場のネズミの「わたしの~わたしの~」が頭にこびりついて離れません^^汗
あとは外見のステイシーの演技が見事で面白かったです。
ぜひおすすめですのでまだ視聴されてない方はご覧になってみてください!