2023年にアメリカで公開された映画、リトルマーメイド。1989年に制作されたディズニーアニメーション映画の実写化作品なのですが、何かと物議を醸す作品にもなりました。特に話題となったのはキャスティング、アリエル役がハリー・ベイリーさんとなったのですが……。
今回はリトルマーメイドの実写化がひどいと言われている理由、キャストやコメントについて紹介します。
リトルマーメイドの実写がひどい?
リトルマーメイドの実写について、ひどいという声が多く見られます。こういった悪評は公開前の段階でついたもの。アニメ作品の実写化という取り組み自体にネガティブな印象がついているという側面もありますが、ディズニー作品においては実写化の前例も複数ありますし好評なものも多いです。
30年以上前のアニメ作品、もっと言えばリトルマーメイドの原作は1837年のアンデルセン童話なわけですから、リトルマーメイドについては実写化するという取り組み自体に批判が起こったというわけではなかったように思われます。では、リトルマーメイドの実写はどうしてひどいと言われたのでしょうか。
キャスティングが物議を呼んだ
リトルマーメイドがひどいと言われた一番の理由は、キャスティング。主人公であるアリエル役に、黒人女性のハリー・ベイリーさんが起用されたことに反対意見が目立ったのです。
アニメーション映画ではアリエルは赤毛の白人女性、しかし実写版でのアリエルのビジュアルはアニメーション映画のそれとは大きく異なり、受けるイメージも全く違うものになりました。純粋に、アニメーション作品に登場するアリエルを実写版にも求めていたという人も多く、このキャスティングに戸惑う人がいたのも無理はありません。
リトルマーメイドの実写批判とポリコレ問題が密接に関係?
リトルマーメイドの実写作品に対する批判については、近年のポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)の機運への反発も大きな影響を与えていた物と思われます。ポリコレとは、社会の特定のグループのメンバーに不快感や不利益を与えないように意図された政策、対策などを表す言葉の総称であり、人種や信条、性別などの違いで偏見や差別を含まない中立的な表現を行うといった意味合いを持つ言葉です。「差別を許さない」という姿勢自体は素晴らしい物のように思えますが、近年ではこのポリコレという言葉にもネガティブなイメージが根付いてしまっています。
ポリコレが創作に影響を与える
なぜポリコレにネガティブなイメージがついてしまっているのかというと、例えば歴史的に差別を受ける側とされてきた黒人について、これまでは黒人が担当してこなかったような役柄に黒人を起用することで黒人差別をしていないことをアピールしよう、みたいな動きが世界的企業の創作物(映画)などに見られるようになってきたという風潮が出来ているためです。
リトルマーメイドにおいても、アニメでは白人が担当していた役を黒人が演じるのはポリコレの影響だろう、という指摘がされ、実写がひどいという評判に繋がったのです。
リトルマーメイドのキャスティングを批判している人は差別者ではない
原作で黒人が主人公であるモアナなどの作品で主役のキャストを白人にするようなことがあれば、それは差別だと言われても仕方がないのかもしれません。原作で黒人が主人公なら主演のキャストも黒人にすべき。同様に原作で白人が主人公なら主演のキャストは白人にするのが自然で、実写リトルマーメイドのような事例はそれこそ差別だと言われてもおかしくないのではないか。実写リトルマーメイドについてひどいと反応した人の中にはそういった思いを抱いている人が多いのです。
イメージと違う主人公を誰もが受け入れられるわけではない
勿論誰だってアリエルや白雪姫やシンデレラを演じていい、アリエルを白人以外が演じることが許されないのは差別だ、という意見も正論ではあるのかもしれません。しかし商業作品として世に出される中で、自分のイメージとかけ離れたアリエルを誰もが受け入れられるというわけではないのですね。
ポリコレのような事情で作品がねじ曲がってしまうという近年度々見られる現象に、創作物のファンはウンザリしているところもあるのかもしれません。
リトルマーメイドのキャスト
ここからはリトルマーメイドのキャストや、キャストに関するコメントについて紹介します。
アリエル役・ハリーベイリー
アリエル役のハリーベイリーさんは歌手として活躍されている方で、圧倒的な歌唱力を本作でも披露、評価されました。本作の監督を務めたロブ・マーシャルさんは「徹底的にアリエル探しに取り組んだ」と語った末に、ハリーベイリーさんをアリエル役に抜擢。「アリエルのようにもっとたくさんのことを望んでいる性格を、彼女も持ち合わせている」とコメントしています。ハリーベイリーさんは自身のSNSに黒髪のアリエルの画像をアップして「夢が叶った」と投稿しましたよ。
一連の動きが更なる反発を呼ぶことに
批判を受けることとなったハリーベイリーさんをアニメーション映画のアリエルの声優やハリウッドスターなどが擁護、賞賛するようなコメントを出すという流れもあったのですが、ポリコレ的事情を隠すような監督のコメントや、キャスティングへの批判を「人種差別」と置き換えるような反応に反発の声は更に加速しました。
アースラ役・メリッサマッカーシー
メインヴィラン、アースラ役を演じたのはハリウッドを代表するコメディ女優のメリッサマッカーシーさんです。こちらのキャスティングについては絶賛されており、メリッサマッカーシーさんは持ち前の演技力を遺憾なく発揮、本作の見どころの一つとなっています。
エリック王子役・ジョナハウアーキング
エリック王子役はジョナハウアーキングさんが演じました。新進気鋭の若手俳優であり、王道の王子像に合致したキャスティングですね。
リトルマーメイドの実写は好評だった?
公開前はネガティブなイメージも強かった実写版のリトルマーメイドですが、演技力や歌唱力にこだわったキャスティングを行った甲斐もあってか、作品としてのクオリティは高く興行成績は好調、作品の評価も高めとなっています。現代社会では一度ついてしまったマイナスイメージを払拭するというのは簡単なことではありませんから、実写版リトルマーメイドは相当うまくやったんだな、という印象を受けますね。
最後に
今回はリトルマーメイドの実写がひどいという噂やキャストなどについて紹介しました。黒人や性的マイノリティへの配慮という面でのポリコレはよく見られる中で、そういった表現を推進しながらアジア人への差別的表現は気にせず行ってしまう、という事例も海外の作品には見られます。そういった事象への不信感もあるためか、日本ではポリコレへの反発はより強いように思えますね。
