今回紹介するのはウォルト・ディズニー・ピクチャーズとピクサー・アニメーション・スタジオが製作する27作品目の長編映画『マイ・エレメント』です。ピクサー作品と言えば『トイ・ストーリー』、『ファインディング・ニモ』、『カーズ』などこれまで数々の名作を生み出してきたアニメーションスタジオです。
そんなピクサーが作る最新作は一体どんな作品に仕上がっていたのでしょうか?
『マイ・エレメント』:あらすじ(ネタバレなし)
あらすじ~様々な種族が暮らす都市~
本作の舞台になるのは火、水、土、風という4つの異なるエレメント達が暮らす”エレメントシティ”です。異なるエレメントが一緒に暮らしているというある種、理想的な街に見えるのですが、実態は少し異なっていました。
実は”火”の種族は危ないからという理由で、郊外に追いやられてしまっていたのです。そんな郊外で元気に育った少女エンバーは、ある日水の種族であるウェイドという少年と出会い…
実はアメリカをモチーフにしている..?
このエレメント・シティという街は、恐らくアメリカがモチーフになっています。アメリカといえば”人種のるつぼ”と表現されており多民族国家というイメージが強いですが、人種ごとのコミュニティというのが、中心部から外れたところにいくつもあったりします。
実は本作の監督であるピーター・ソーンという人は韓国からアメリカに移民してきた人。監督はインタビューでも本作は実体験が多く活かされた作品だと語っており、そういった視点で観てみるとより深く味わえます。
互いが融合し、自分を再発見する物語
本作は種族間の壁を越えていくエンバーとウェイドのとてもピュアなラブストーリーが描かれます。そこで提示されるのが融合というモチーフです。
二人が互いに惹かれ合い、初めて手を触れ合う時、その接触のタイミングで画面全体が紫色になっていく。二人が繋がったことを、赤色の火と青色の水が混ざり合った紫色で表現しているんですね。
そしてクライマックスの場面でも、融合というモチーフが提示されていました。ある場所に閉じ込められ絶体絶命に陥った二人は、窮地の中、お互いを見つめ合います。そこではそれぞれの目に互いの姿が映るという演出がされていました。エンバーの目には涙(水)が、ウェイドの瞳には燃えるエンバーの姿が、それぞれ映っています。この融合というモチーフが重ねて提示される演出があり、本作ではお互いが触れ合い一つになることがとてもロマンチックに描かれていたと思います。
感想
何度か泣いてしまったとても大好きな作品です。
劇中にてアイデンティティに悩むエンバーがウェイドの前で自分らしく振る舞う姿をみて、心が繋がり合う相手と恋をするというのは、自分を再発見することでもあるんだなと思いました。
相手を通して、自分が見えてくる。相手と心が融合する中でまた新しい自分が生まれていく感覚なのかなと。とても素晴らしい作品だと思いますので、ぜひディズニー+でご鑑賞ください!