『時計仕掛けのオレンジ』の「完璧に治ったね」の意味は?ネタバレも!

『時計仕掛けのオレンジ』の 「完璧に治ったね」の意味は?ネタバレも!

「時計仕掛けのオレンジ」は暴力や自由意志、社会的コントロールなど普遍的なテーマを描いた名作です。1971年にスタンリー・キューブリック監督が手がけた作品でラストシーンの台詞である「完璧に治ったね」は見た人に強烈な印象を残しています。そこで今回は「完璧に治ったね」の意味についてネタバレも含めながら紹介していきたいと思います。

目次

時計仕掛けのオレンジのあらすじ

時計仕掛けのオレンジの舞台は近未来の荒廃したロンドンで、クラシック音楽を愛する15歳の少年アレックスは仲間と共に暴力や犯罪を繰り返していました。薬物入りの飲み物や浮浪者への暴力、ライバルグループとの争いや一般市民の襲撃などを主に楽しみに過ごしていたのです。しかしある日金持ちの女性の家に押し入り、女性を殺害し仲間の裏切りによって逮捕されてしまいます。

社会復帰を目指すも苦難の日々

アレックスは社会復帰のために「ルドヴィコ療法」を受け新しい矯正プログラムの被験者に選ばれます。出所後も両親や浮浪者だけでなく仲間たちからも報復を受け、かつて襲撃した作家の家に逃げ込みますが、作家も自分の妻を襲ったアレックスに復讐を企てます。アレックスは自殺を試みるも政府が支持率回復のため、彼を治療し自由意志を取り戻そうと動きます。そして目が覚めたアレックスは「完璧に治ったね」といい皮肉な笑みを浮かべます。

ルドヴィコ療法の仕組み

時計仕掛けのオレンジで犯罪者の再犯防止のために行われるのが、ルドヴィコ療法というものです。この療法を行うことで薬物と視覚的刺激を組み合わせ、暴力や性行為に対して嫌悪感を抱かせるようになっています。これによりアレックスは暴力的な衝動になった際に、強烈な吐き気などを感じるようになってしまうのです。しかしこれは更生への矯正ではなく洗脳のように感じられ世論は批判的になります。

時計仕掛けのオレンジ「完璧に治ったね」の意味は?

アレックスが最後に言った「完璧に治ったね」という台詞は、時計仕掛けのオレンジを通して終わることのない暴力の連鎖と治療などを通して、自由意志をもたらす社会の矛盾について描いています。アレックスは社会によって治療されたことで自由意志を取り戻しますが、それはアレックスの本質的な部分を取り戻したことを表してもいます。

治療によって更生する意図とは裏腹なもの

時計仕掛けのオレンジではアレックスは暴力を繰り返していますが、政府は治療をすることで暴力性のあるアレックスを更生させることができると世論に訴えかけています。治療により善良な市民としての人格をつくりだす一方で、アレックスの人間らしさはなくなってしまいます。「完璧に治ったね」と言ったアレックスの意図は自分本来の自由な選択を取り戻すことができたことに対しての意味だといえます。

善と悪に対しての価値観

時計仕掛けのオレンジでは政府から見る善は、アレックスの暴力性を治療を通してなくすという形です。しかしアレックスにとってそれは人格を奪われる悪であるように感じられ、自ら命をたつ選択をしてしまうほどでした。ルドヴィコ療法がアレックスの人間の自由意志を奪い、社会が個人をコントロールできてしまう危険性があるという訴えかけでもあります。

まとめ

今回は時計仕掛けのオレンジのラストシーンの「完璧に治ったね」という主人公の台詞の意味について解説していきました。罪を犯してしまったアレックスの更生のために行われた療法が、本人にとっては辛いことであっても第三者にとっては成功例のように感じられることがあるということがわかります。視聴者側が考えることのできる意図を込めた台詞は非常に印象的なシーンではないかと思います。かなりバイオレンスな描写が多く私は最後まで見ることが出来ませんでした。エンタメチェンジにあるような気分転換になるような映画ではないということは頭に入れて視聴してください!


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